今回は、北海道札幌市で青果卸売事業を営む「株式会社水戸青果」様のWeb戦略プロジェクトについて、その設計から運用、そして具体的な成果が出るまでのプロセスをご紹介します。
弊社エレメントのマーケティングサポートの開始は、2025年7月にサイトのリニューアルからスタートしましたが、単に「サイトを綺麗にした」という話だけではありません。
「誰に」「何を」「どう伝えるか」を徹底的に設計し、ターゲットへの訴求につながるコンテンツ設計を丁寧に構築し積み上げた結果、Webサイト経由でどのような成果が上がったのか、丁寧に解説していきます。
1980年の創業以来、40年以上にわたり札幌の食を支え続ける青果卸売業者。
「北海道を、おいしく、セレクト。」を掲げ、市場からの確かな目利きと、生産者から直接仕入れる希少な野菜・果物で、料理人の皆様に「ワクワク」をお届けします。
「つくる人、いかす人、たのしむ人をむすぶ」を理念のもと、単なる食材の配達にとどまらず、農家さんと料理人さんを結び、野菜の「付加価値」を何よりも大切にする八百屋さんです。

1. プロジェクト開始前の課題と戦略設計
クライアントの現状と課題:なぜ、WEBの強化が必要だったのか?
創業40年以上の歴史を持つ水戸青果様ですが、デジタル領域においてはいくつかの課題を抱えていました。それは、多くの地方企業が直面する共通の悩みでもあります。
商圏エリアの限界
お取引のお客様は、北海道内の飲食店やホテル、札幌市内の近隣エリアが中心で、物流網はあるものの「道外」や「道内遠方」の物理的な距離を越えて、自社の価値を届ける手段に課題感を感じておりました。
提供サービスの強みの不透明さ
水戸青果様には、「珍しい野菜の調達力」や「小回りの利く柔軟な対応」という、大手とは一線を画す独自の強みがあります。しかし、それが旧WEB上では言語化されておらず、結果として業界全体の価格競争に巻き込まれやすい構造になっていました。
情報発信の不足
生産背景にこだわりをもつ農家さんとの深い繋がりがありながら、そのストーリーが可視化されていない点も悩みの一つでした。「誰がどんな想いで作った野菜なのか」という最大の付加価値が活用されず、ブランディングに繋がっていないのは大きな機会損失にもなり得ます。
戦略の核となる「ターゲット設定」:誰の痛みを解決するのか?
そうした水戸青果様の現状と課題感をヒアリングを通じて共有し、私たちはまず、”誰に”独自の強みを訴求していくのか、ターゲット選定の深掘りに入っていきます。
漠然とした「飲食店」という大きな括りでとらえるのではなく、まずは具体的なペルソナ(顧客像)を定義します。「誰に届けるか」が決まることで、「その企業の何を語るべきか」が自ずと見えてきます。
ターゲットが抱える悩み:「近くに良い八百屋がない」「配送中に品質が落ちるのが不安」「希少価値の高い北海道食材が欲しい」
戦略:物流への不安を払拭し、独自の北海道ブランドの価値を最大化させるコンテンツを用意する。
ターゲットが抱える悩み:「メニューで差別化したい」「市場には出回らない珍しい野菜が欲しい」「生産者の顔が見える食材を使いたい」
戦略:希少野菜の情報や生産者ストーリーを発信し、「ここなら面白い食材が見つかる」という期待感を醸成する。
サイトリニューアルのコンセプト設計
青果卸売業界は、ともすれば「1円でも安く」という価格競争に巻き込まれがちな市場です。しかし、水戸青果様には「市場には出回らない希少な野菜」や「生産者との強固な信頼関係」という、他社とは簡単に真似できない強力な資産がありました。
そこで今回のリニューアルに伴い、WEBサイトの役割を単なる「商品カタログ」としての用途でなく、選ばれる理由となる「付加価値」を可視化するメディアへと再定義しました。
生産者の想いやストーリーを商品の付加価値に

数ある卸売業者の中から水戸青果様が選ばれる最大の理由は、食材の背景にある「物語」です。
単に「美味しい野菜があります」と伝えるのではなく、「どのような想いで、どのような工夫を凝らして育てられたのか」という生産者の背景をコンテンツの主軸として据えました。
生産者の情熱や背景にあるドラマをウェブサイト上で「付加価値」として変換・発信することで、「この人の作った野菜なら使ってみたい」という価格競争に左右されない強固なブランド力の形成を実現しました。
「料理人の相談役」としての立ち位置を確立

さらに、水戸青果様が既存のお客様から選ばれている理由の一つに、営業の担当者による料理人目線で寄り添う、柔軟な対応力がありました。
料理人の日々の悩みや課題解決を支えるパートナーとしての訴求をサイト内の表現でも取り入れ、選ばれる理由の可視化を図りました。
2. リニューアル公開と初期SEO施策のスタート

まずは、水戸青果様に興味関心を持ったユーザーが、サイトに訪れた際に、知りたい情報がわかりやすく並んでいる、そのための情報設計が必要不可欠です。
サイトのコンバージョン(お問い合わせ)までに、どんな内容を訴求して行動を起こしてもらうか。ここがずれていると、ユーザーとの期待感に齟齬が生まれ、得たい結果が得られないサイトが出来上がってしまいます。
改めてターゲットとして設定したユーザー側の気持ちになりきって、どのような順番で情報を整理したらいいのか考案することが成功の第一歩です。
集客用ブログコンテンツSEOの開始
まずは、ローカルな対策キーワード(地域名×野菜卸)はもとより、ターゲット層へ向けた課題解決型を主軸としてキーワードを狙いました。
記事テーマは「飲食店 野菜 仕入れ先 選び方」「青果 卸売業者 選び方」など、ターゲットが検索行動を起こす瞬間に、プロとしてのアドバイスを提供する記事を優先して配置しました。
【初月の成果・分析】スタートダッシュの成功
検索順位の初動

サイトリニューアル公開直後から「札幌 青果」「北海道 野菜 卸」といったローカルキーワードで検索3位に上昇。さらに「札幌 野菜 卸」では1位を獲得。事前のサイト構造や、コンテンツの内部SEO設計が完璧に機能した結果となりました。
お問い合わせ
関西圏のフレンチレストランや中部地方の天ぷら屋さんなど、これまでの商圏エリアを超え、WEBサイト経由での問い合わせが発生し始めました。北海道内に止まらず全国に向けてサイトが機能しはじめた瞬間でもありました。
3. プロジェクトの進捗と成果(2ヶ月目〜5ヶ月目)
リードの質的変化と機会損失の防止

コンテンツ発信を続ける中で、問い合わせの内容が「野菜が欲しい」という漠然としたものから、「Webで見た〇〇(特定の季節食材)を仕入れたい」という指名買いへと変化していき質の高いリードが増加しました。
また、「季節需要 × ニッチキーワード」を掛け合わせた記事を戦略的に投下し、狙い通り検索順位1位を獲得。サイト流入数が単月で倍増しました。
同時に、高単価商材を扱う飲食店をターゲットにしたコンテンツも展開し、具体的な見積もり依頼や商談が発生。Webが集客装置として機能し始めました。
SEO基盤の盤石化で単価10万円超の新規契約

季節トレンドによる流入変動はあるものの、「今すぐ客」が検索する「主要エリア×業種」のコアキーワードでは不動の1位・上位をキープし続けています。
計測的なコンテンツの発信により一過性のブームに頼らない、安定した検索流入の基盤を確立しました。
さらには、生産者の顔が見えるコンテンツを拡充し、信頼性の強化を継続して行っていき、その結果、Webサイト経由でのお問い合わせから、単価10万円を超える規模の継続取引が成約しました。
この半年間の最短で成果につながった要因
「サイトデザイン」のほか「情報の整理」を最優先に
デザインのリニューアルに留まらず、見込みターゲットへ向けた、知りたいことの情報設計、飲食店オーナーが本当に知りたい「選び方」「違い」「旬の情報」をブログで発信し続けたことが、SEOの相対的な評価の獲得に繋がりました。
クライアントとの二人三脚でのコンテンツ作成
水戸青果様より、お取引のある農家さんの情報や、独自のこだわりある商品の情報を、現場の声をスピーディーにご共有いただけたことで、コンテンツの質と鮮度を保つことができました。
まとめ
Webサイトは「作って終わり」ではありません。
初回のサイト設計時に正しい戦略を育てていけば、必ず事業に貢献する資産になります。
今後も株式会社水戸青果様のさらなる発展に向け、新規エリアへのアプローチなど、次なるWeb戦略を推進してまいります。
