今回は、津村製麺所が運営する生ひやむぎ専門店「ツムラボ」が1年間で集客数と売上を大幅に増加させた成功の秘訣を、マーケティング視点から読み解きます。
成功には必ず理由があります。その理由は業界が違っても経営のヒントとなることが多いため、この記事を通じて今後のマーケティング活動に役立てていただければ幸いです。
1年で集客数4000人以上、売上1000万円以上増えた飲食店の成功事例
北海道北見市に生ひやむぎ専門店「ツムラボ」という飲食店があります。津村製麺所という会社が運営しており、2019年に工場併設の店舗として、生うどん・生ひやむぎを食べられるお店としてオープンしました。
2023年には、北海道初生ひやむぎ専門店としてリニューアルオープンし、1年で集客数4000人以上、売上1000万円以上増加する成功する飲食店として飛躍しました。
しかも、注目したいのは、営業日数を減らしたのにもかかわらずこの変化ということです。
具体的な数値変化をオープンから2023年のデータでおみせします。
まずは、年間売上と年間集客数の変化。
オープン当初から売上が徐々に伸びている状態でしたが、生ひやむぎ専門店へとリニューアル後、前年比が大きく伸びていることがわかります。
下図は、年間提供食数のグラフで、2021〜2023年の変化を表したグラフです。
注目したいのは、2023年のリニューアル以降、大幅に提供食数が増えていること。そして、店舗の閑散期であった、夏以降(9,10,11,12月)も大幅に提供食数が増加していることがわかります。
ちなみに、2024年も2023年を上回る売上を記録しているツムラボ。
営業日数も減らし、いったいなぜそこまで売上が増加したのか。生ひやむぎにしたからと一言でいえばそうかもしれません。
しかし、単にメニューを変えたからといって飲食店は簡単には成功しませんよね。たとえ流行ったとしても一時の効果。
継続して年々売上が上がっている津村製麺所が成功した理由にはマーケティングのヒントがたくさんつまっているのです。今回は、具体的な3つの理由を説明していきます。
1、ビジョンを明確にすること
2019年ツムラボをオープンしたとき、そこにはある一つの想いがありました。
「北見にくる理由が生ひやむぎになってほしい」
その想いへの真相を津村製麺所の社長に伺ってみました。
北見市は玉ねぎや小麦などの農業、林業などの一次産業が盛んな地域にもかかわらずまだまだその良さは認知されていないのも事実。そして、有名な観光名所もないのでわざわざ北見市に足を運ぶ人も少ないのです。
私たち津村製麺所は、小麦を使って麺をつくり消費者に届ける、いわば生産者、消費者どちらも関われる存在です。
地域の良さをもっと広めたい、知っていただきたいという思いから、地域で生産された小麦を使用し、さらに、地域への貢献の一貫として「ツムラボ」もオープンさせました。
また店舗のビジョンとしては、北見の道の駅のような存在として、地域のものを店舗で積極的に取り扱ったり、人々がコミュニケーションできる場のような存在になりたいという想いがあります。
本来の目的をまっとうしようと事業開始時の想いに立ち返ったのも生ひやむぎリニューアルに至った決意でもあるのです。
上図のグラフを見れば、生ひやむぎリニューアルにしなくとも売上は徐々に伸びている状態でした。しかし、その状況からあえて挑戦したのも、このビジョンがあったからこそ。
2、コンセプトを明確にすること
上記の事業としてのビジョンが明確になった上での「北海道唯一の生ひやむぎ専門店」というコンセプトが生まれました。
オープン当初は生うどん・生ひやむぎを提供する店舗でしたが、リニューアルと同時に生ひやむぎ一本にメニューを絞りました。
その決意には、ビジョンに通じるそして、会社としての想いがあったのです。
2019年、店舗をオープンしようとなった時、本当であれば生ひやむぎ1本でいきたかったんです。
でもそこはビビって万人受けするうどんも取り入れたメニュー展開になりました。笑
オープンから2年経過し、うどんにも一定数のファンがいました。しかし、あえて生ひやむぎで行こうと決意したのは、「生ひやむぎは苦楽をともにした思い入れのある麺」だったからなんです。
元々、津村製麺所の製品のラインナップに生ひやむぎはありませんでした。祖父の遺品整理をきっかけに生ひやむぎを作っていたことを知り、復活させました。復活後は瞬く間に津村製麺所の名物麺へと成長したのです。
今では人気商品ですが、復活した当時を振り返ると、実は事業が苦しかったときだったんです。そんな時、生ひやむぎに偶然出会い製品化し、人気商品となって自分にとっては本当に想い入れがある麺なんです。
だからこそ、この生ひやむぎで挑戦したかった想いを、ようやく踏ん切りがついて2024年ひやむぎ一本でいこうとなりました。
北海道唯一の生ひやむぎ専門店というコンセプトは消費者にとっても面白く尚且つ、事業としての思い入れも強い。
事業の想いからサービスへの一貫性を持つことはマーケティングを行う上で重要です。そんな相乗効果がいいサービス・製品をうみ、明確なコンセプトとして突き刺さったのです。
消費者にとってはどんな店なのかわかりやすい方が印象に残りやすいです。
3、マーケティング施策を使い分けた
マーケティングの役割は、企業の価値 (商品やサービス) をどのように伝えるかという部分にあります。
事業の方向性が変わる時にどんな施策で消費者に伝えていくのか、ここからがマーケティングの見せ所。
でも実はマーケティングにはいろんな施策があります。
私たちがサービスにしているコンテンツマーケティングはこんなにも発信媒体が存在します。ブログ・SNS・動画・新聞など。
その中でも、効果的だった施策がプレスリリースでした。
世の中では珍しい試みであったこと、そしてビジョンやコンセプトが明確だったことがプレスの取材対象として見事にヒット。
結果として3件のメディアに掲載されリニューアル直後から大反響という結果になりました。
その時の、様子やネット上での変化はこちらの記事にまとめています。
コンテンツの発信先を考えるのも私たちコンテンツマーケターです。
これが、ただ店をリニューアルさせただけでは、このような大きな反響は得られなかったのではないでしょうか。
事業への想いが言語化したからこそ人々に知れ渡り、売り上げをのばしていくことができたのです。
マーケティングで重要な考え方
津村製麺所の成功した要因を3つ紹介しましたが、これらはどれか一つではなく全て整っていることが成功する条件として必要なこと。
1と2のビジョンとコンセプトは店舗の価値を明確にする「ブランディング」といわれる部分。そして3の施策は「マーケティング」といわれる部分です。
マーケティングは施策は目的から逆算したときに一貫性ある行動指標がなければ効果はなしません。
だからこそ、原点から振り返り、行動まで落とし込んだ津村製麺所の事例にはマーケティング活動の大きなヒントがたくさんつまっているのです。
ブランディングとその価値を伝えるマーケティングをうまく作用したのが今回の成功事例です。
この事例は、他のどの業界にも通じる大きなフレームワークです。
ミッション→コンセプト→マーケティング施策
一貫性のあるマーケティングをする上で改めて、事業の根幹を考え直してみてはいかがでしょうか。
まとめ
津村製麺所が運営する飲食店ツムラボの成功事例を通して、マーケティングの考え方のヒントを紹介しました。
私たちエレメントのマーケティング支援は、ビジョン/ミッション/バリューからのブランディングそしてマーケティング施策までサポートしています。
自分たちで考えていくことが難しい場合、ぜひご相談ください。
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