2023年、日本の新型コロナウィルス対策が緩和され、いよいよ人が本格的に動き始めようとしています。
新型コロナウィルスによって一番大打撃を受けたのは観光業ではないでしょうか。
インバウンド、国内旅行者に向けてどんな施策を試しても空回りに終わってしまった時期と違い、今は回復するチャンスがあります。
再度人を呼び戻すために何か始めたいと思い始めている方も多いでしょう。
そこで、ホテル業のマーケティングを数々こなす北海道札幌市のWEBマーケティング会社エレメントが、観光マーケティングの基礎を解説していきます。
マーケティングを通して成功した事例を紹介していきますので、現場に観光マーケティングを取り入れたいと思っている方は参考にしてみてください。
【基本】観光マーケティングとは
観光マーケティングとは、誘致したいターゲットを確立し、地域の魅力の発信を通して現地に訪問してもらうマーケティングのことです。最終的にはその地域のファンになってもらうことです。
観光と一言にいっても様々な業態が複合的に機能しています。
- 旅行代理店
- ホテル、旅館の宿泊施設
- 航空会社
- テーマパーク
- 飲食、お土産店
ここでいう観光業は地域のみで形成する観光のことをいいます。観光業とは地域を活性化させることであり、そのベースを作るのは地域の企業や行政だからです。
観光マーケティングの施策は、WEB広告、SEO施策、観光DX、ローカルSEO、口コミなど多岐に渡ります。
しかし、日本では観光マーケティングに取り組む事例はまだまだ少なく、従来の広告に頼り不特定多数の人を集める、他の地域で成功している事例を取り入れるだけのマネっ子で終わることが多いです。
その理由に、従来の集客に依存しきっている、デジタルを活用しきれていない、協力者が少ないこと、方法がわからないことなどが挙げられます。
成果をだすためにも、どのように取り組んでいくのか、観光マーケティングは本当にこれから必要なのかを紹介していきます。
観光マーケティングに取り組む必要性
現代は、SNS・インターネットが普及し情報過多となり、自分に興味ある情報のみを選択できるようになりました。
これは、観光業にも大きな影響を与え、旅行者は自分で旅のプランを選択し、決済し全ての意思決定は旅行者にあるのです。
旅行者は「欲しい情報」にしか振り向かない時代になりました。
つまり、戦略なしに闇雲に従来通りの広告・PRをしても旅行者に「行きたい」と思える観光地として選ばれません。
なので、誰に向けて届けたい情報なのか定め、観光マーケティングをすることが求められるのです。
駅前に広告をだす、旅行代理店に一任する、大手広告会社に掲載する、不特定多数の人に向けた発信をするようなやり方では通用しなくなっているのです。
さらに、旅行者にとって観光は「高額商品」です。
スーパーでパッケージを一瞬みただけで買うような選び方はしません。
自分たちでネットやSNSを駆使し比較・検討しいろいろとリサーチしながら旅行先を決めていきます。高い買い物だからこそ、より満足感を得られる場所を慎重に探しているのです。
時代の変化と旅行者の生活様式を考えると、観光マーケティングは取り組んでいく必要性があるのです。
観光マーケティングに取り組む方法
では、観光マーケティングは具体的にどのように考えて組み立てていくのか紹介していきます。
基本的に一番最初にすることは、戦略を立てることです。
誰にきてもらいたいのか、地域の魅力はなにか徹底的にチームで話し合い見つけていくことが観光マーケティングの基礎です。
1、地域の資源を見直しする
観光マーケティングを行う上で重要になることが、自分の地域の観光資源の見直しを徹底的にすることです。
観光マーケティングは、ホテルや飲食店だけが魅力的でも人はきません。地域全体が一貫して自分たちの地域にある観光資源を見つけなければいきたい町として選ばれにくいでしょう。
見つける方法として、自然・伝統文化・テーマパーク・歴史などが観光業の資産となりやすいので、観光という視点でどんな魅力があるのか見直すことから始めましょう。
さらに、資産を見つけるためには、既にあること・ものを活用することでコストも時間もかけずに実行することも可能です。
磨けば光る資源を活用し、人気を博した観光の例に、北海道トマム「雲海テラス」があります。町の気候を活かし、観光客で賑わうホテルとなりました。
多くの人が気づいていなかったことを見つけ出すと再び町が動き出します。
2、ターゲットを明確にする
地域にある観光資源を見つけたら、次にどんな人が地域の観光資源に引かれるのかターゲットを考えましょう。
旅行者はネット情報を通して、観光先を選択する時代になりました。
もし何処かに行きたいと思った場合、自分の興味ある言葉などで情報を探しますよね。ターゲットが興味ある分野に発信していくことが、自分たちの存在を知ってもらえることに繋がります。
なので、予めターゲットを明確にしてからアプローチ方法を考えておく必要があるのです。
3、チームを構築する
地域にある観光資源を見つけ、実行していくには地元をよく知っている人の存在は欠かせません。それと同時に外部の人である専門家の存在も重要になってきます。
地域の観光資源が見つかったとしても、効果的に旅行者に届けられなければ成果はでません。目標のために、旅行者のニーズ、分析、客観的な視点、戦略などベースなどのマーケティング視点で考える専門家が求められます。
よくありがちなのが、地域の人のみで考える施策は、旅行者目線ではなく企業本意の意向になりがちになることも。観光は、旅行者あって成り立つものですから、旅行者の立場になって考える視点が重要です。
地元の想いを外部の協力者で実現化することがチームに求められます。
観光マーケティングを取り組む上での注意点「マネっ子はNG 」
集客するためによくあるのが、他で成功した事例を取り入れることです。
あそこで成功したから私たちも真似したら集客できるのではという考えになりますが、他と同じことをしても旅行者は魅力を感じません。
その地域ならではの強みがあるからこそ、遠くても行ってみたい、体験したいと思えるのです。
だからこそ、地域の特有の観光資源を先に見つけて、競合にない強みを明確にすることが大切になります。
観光マーケティングで成功した5つの事例
観光マーケティングを行う上で、成功事例を知っておくこともモチベーション向上につながります。ここでは、地域全体で観光マーケティングに取り組み成功した事例を4つ紹介していきます。
1、外国人観光客が3500%増加「熊野古道」
2004年に世界遺産に認定されるも、観光客数は伸び悩みます。しかし、ターゲットを外国人に選定したことで、現在は、アメリカ・ヨーロッパなど世界中の人々が押し寄せる観光スポットに。ターゲット選定、ターゲットに寄り添ったコンテンツが見事成功へ導きました。
参考:観光客を35倍にした熊野古道の完璧なコンテンツマーケティング
2、歴史的資源を活用し観光客増加「大分県豊後高田市 昭和の町」
町の資源を生かし、商店街を復活させ観光客を呼びこむことに成功した事例です。
平成8年より大型店が郊外に相次いで出店し、既存商店街は活気を失っていきました。人通りよりも犬や猫の方が多いと表現されるほどに。
このような状況に、平成13年より町全体が動き出します。商店街に観光要素を取り入れようと商店街が最後に元気だった昭和30年代の賑わいを蘇らせようと「昭和の町」をコンセプトに見事に地域を復活させました。
参考:復活!「昭和の町」
3、夏も稼ぐスキー場に大変身「長野県白馬岩岳マウンテンリゾート」
ウィンタースポーツ人口が減っていく中で、冬のスキー場集客に悩み、地域に既にある隠れた資源を見いだし誕生した白馬マウンテンハーバー。
北アルプスの山頂で絶景をみながらカフェができる夏の観光スポットとして生まれ変わりました。
今では、冬より夏に稼ぐスキー場として大成功をおさめました。
参考:書籍「スキー場は夏に儲けろ」
4、無名の温泉地が日本一の星空観光スポットに「長野県阿智村 星空ビジネス」
温泉街である阿智村の旅館は稼働率が5割まで落ち、宿泊業全体がそれに悩まされていました。ただ温泉に行くという理由だけでは集客できないと理解し、阿智の強みを明確にした結果、生まれたのが星空ツアー。
地元のスタッフがゴンドラに乗って夏の夜空を楽しんでいるという雑談から発展し、観光客を呼び戻しに成功。今では星空ナイトツアー付きの宿泊プランは売り切れてしまうほど人気を博しているよう。
参考:書籍 そうだ、星を売ろう 「売れない時代」の新しいビジネスモデル
5、田舎温泉宿がコロナ禍でも新規顧客を獲得した「北海道比布町 遊湯ぴっぷ」
最後に、私たちのクライアントでもある温泉施設「遊湯ぴっぷ」の紹介です。
明確なターゲット選定、コンテンツマーケティングを通してコロナ禍でも、宿泊数をシーズン中に倍にした遊湯ぴっぷ。
観光マーケティングの基盤である、ターゲット選定が見事に功をなし、これから地域全体が復活を遂げようとする前兆でもあります。
まとめ
観光マーケティングの基礎、行う上で重要となるポイントについて紹介しました。
これから観光に力を入れていきたい、地域の昔の活気を取り戻したい、1人の力だけでは限界があると感じている方はぜひ、株式会社エレメントにご相談ください。
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