ファッション通販サイトの商品画像のパターンと低コストな撮影方法


オンラインショッピングでは約7割の消費者が,買うかどうかを商品写真で決める,というのをご存じでしたか?(http://www.stream.co.jp/company/press/2012/120119/)ファッションのような「見た目」が重要な商品の場合,商品画像の重みってもっとありますよね。

7割が写真で購入を判断

そんな商品写真,「まぁ何とかなるべ^皿^」くらいのでっかい道民のノリで撮影すると,イマイチ~なものしか撮れず,結局サイトの見た目も売上もイマイチ~になってしまいます。せっかく手間をとって撮影するなら,一工夫して「この服欲しい!」と思ってもらえるような写真にしたいですよね。

ファッション通販サイトでは,どんな商品画像を撮ればよいのでしょうかどうやったら,雑誌のような雰囲気のある写真を効率よく撮影・掲載することができるのでしょうか

目次:

1.「何となく」じゃなくハッキリ見分けよう! 商品画像の4パターン

どんな商品画像を撮ればよいのか,ということを考えるために,そもそもどんな種類の商品画像があるのか,ということを見ていきましょう。今まで「何となく」見てきた商品写真でも,見方を変えるといくつかのパターンに分けることができます。

ファッション通販サイトでは,商品画像のパターンは「商品の詳細を説明する画像」と「服を着た雰囲気をイメージさせる画像」の2つに大きく分かれますhttp://in-fashion.biz/ec/2820/)。

「商品の詳細を説明する画像」(説明画像)というのは,商品の全体や部分を様々な角度から,時にはグッと近づいた,商品のみの写真のことです。「服を着た雰囲気をイメージさせる画像」(雰囲気画像)というのは,実際にモデルがその商品を着ている様子を様々なシチュエーションで撮った画像のことで,ファッション誌に近い表現方法です。下の画像はこの2種類の画像の例で,いずれもファッション専門のECサイトZOZOTOWNの商品です。

説明画像と雰囲気画像の例
http://zozo.jp/

この「商品の詳細を説明する画像」「服を着た雰囲気をイメージさせる画像」をもとにして,ファッションの商品画像を分類してみることにしましょう。下の図は,私なりに考えた商品画像の4つのパターンです。

ひとつの極は,服の詳細を伝えることを目的とする「説明画像」,もう一つは服のイメージを伝えることを目的とする「雰囲気画像」です。「説明画像」と「雰囲気画像」の2つをそれぞれ極とすると,ファッションの商品画像は4つのパターンに分けることができます

「説明画像」:服の詳細を伝える

ハンガーショット
マネキンショット
モデルショット
スナップショット

「雰囲気画像」:服のイメージを伝える

服の詳細を伝える目的の「説明画像」の典型例が「ハンガーショット」。服の詳細はとりあえず置いておいて,服のイメージを伝える目的の「雰囲気画像」の典型例が「スナップショット」。この2つの間にあるのが,ハンガーショットに少しコストを加えて「着たカンジ」を再現した「マネキンショット」,スナップショットよりも服の詳細をを伝えることを考慮した「モデルショット」

それでは,この4つのパターンそれぞれについて詳しくご紹介していきます。

パターン1:ハンガーショット

ハンガーショットの例:ユニクロ
http://www.uniqlo.com/jp/

商品をハンガーに掛けたり,あるいは床に置いたりして撮影するパターンです。多くのファッション通販サイトで使われている,いちばん低コストな方法です。服の形や全体像を正確に伝えることができ,時間もお金も最小限に抑えられる「説明画像」です。

モデルショットやスナップショットをメインの商品画像としているサイトでも,商品詳細ページには必ず商品だけの写真が使われています。そう考えると,ハンガーショットはどの商品にも必須だといえるでしょう。

先のZOZOTOWNでは,1商品につき実に10枚近くのハンガーショットを掲載しています。「お客さんが実際に手にとって見ることができない」というネット通販の弱みを克服するためにも,商品を徹底的に説明するハンガーショットは必須になります。

パターン2:マネキンショット

マネキンショットの例:DHOLIC
http://www.dholic.co.jp/

商品をマネキンなどに着せて撮っているというパターンです。ハンガーショットの良さをすべて兼ね備えている上に,より「着ている状態」に近い状態を見せることができるという長所があります。そういった意味で,ハンガーショットよりも「雰囲気」をうまく伝えられている「説明画像」と言えるでしょう。

さらにマネキンを使うと,ハンガーショットと違って,正面と後ろだけではなく横からも撮ることができるので,撮影のアングルにバリエーションを出すことができます。

マネキンショットをメインの商品画像としているショップは見つけられませんでした。ですが,モデルを使った商品画像を最初に表示されるメイン画像として使用しているショップの中には,商品の詳細ページで服その物を説明するためにマネキンショットを載せているところもあります。

パターン3:モデルショット

モデルショットの例:マガシーク
http://www.magaseek.com/

白などのシンプルな背景や家の中や通りなどをバックに,商品を着たモデルが写っているというパターンです。モデルは立っていたり座っていたり,正面を見ていたり少しうつむいていたりなど,様々なバリエーションで撮ることができます。ハンガーショットやマネキンショットと比べるとリアリティがグッと増すため,服のイメージを伝えやすい「雰囲気画像」です。

少しでも余裕があるショップはモデルを起用した商品画像を使っているようです。服ってやっぱり「着てみないと分からない」部分がありますからね。「着るとこんなカンジになります」というのを見せることができるのは,モデルショットとスナップショットの強み。

また,モデルショットとスナップショットでは他の服やアクセサリーを使ったコーディネートができます。見ている人は「今持っているあの服/バッグと合わせて着たい」といった「商品を手に入れた後」のイメージを描きやすくなるでしょう。そういった意味でモデルショットは,「見る人に訴える力」はハンガーやマネキンを使った「説明画像」とは一線を画すものです。

パターン4:スナップショット

スナップショットの例:DHOLIC
http://www.dholic.co.jp/

様々なシチュエーションで,時には複数のモデルが歩いていたり飲み物を飲んでいたりする日常風景を撮る,というパターンです。普通に車や電線などの街の風景も一緒に写っていて,モデルショットよりもさらにリアリティや日常感が増します

スナップショットを派手に採用しているサイトが「DHOLIC」。ここは,「日本にいながら韓国の洋服を買うことのできるEコマースサイト」(http://in-fashion.biz/ec/2820/)だそうで。このスナップショットというパターン,かなーりのくせ者です(笑)。こちらのシャツの商品ページをご覧ください。

本当に昇進を紹介する気があんのかってくらい雰囲気推しのスナップショット
http://www.dholic.co.jp/

これ一応,半袖ブラウスの商品画像です…。なんと袖の部分しか見えてないという大胆さ。「ホントに商品を紹介する気があんの!?」と言いたくなるほどの雰囲気画像。この「雰囲気推し推し」がスナップショットの特徴です。でも,本当にこんなので売れるのでしょうか。

その答えは,スナップショットの性格に隠されています。スナップショットが伝えたいのは「服その物」ではなく「服の雰囲気」であり,その目的は「商品を伝える」ことではなく「見ている人を楽しませること」。もちろんいずれにしても最終的な目的は「購買」ですけれどもね。

商品を買ってもらう最短のルートは商品を知ってもらうことでしょう。でも,スナップショット型の商品写真はわざわざそのルートを外します。まずは楽しんでもらおう。そして,もし気が向けば買ってもらおう。そんなちょっと遠回りとも思えるような性格を持ってるんです。

わざわざ遠回りな方法を使う。しかも4パターンの中でいちばんコストがかかる。くせ者じゃないですか?(笑) スナップショットのくせ者っぷりはこれだけにとどまりませんが,今回は商品写真の4つのパターンをまんべんなく見ていきたいので,気が向けば別の記事で書くことにしましょう。

2.売上がパッとしていなければ雰囲気写真撮影を検討してみましょう

さて,ファッション通販サイトの商品画像には4つのパターンがあることが分かりました。では,どのパターンの商品画像を撮ればいいのでしょうか

「見ていて楽しいか」という観点からするとスナップショットが優勝ですが,コスト・時間面からするとそれは必ずしも可能ではありませんし,何よりその商品がどのようなものなのかを伝える力に弱いので,必ず説明画像も載せなければいけません。それはさらなるコストにもなります。

しかし,ますます多くのファッション通販サイトが,スナップショットのような画像を使用し,「見ているだけで楽しい」という要素を持たせています。そのような中で競争に負けず売上を伸ばしていくためには,ハンガーショットだけでは戦えません

「何だか売上が伸びない」というサイトであれば,モデル・スナップショットのような雰囲気画像を増やすことがひとつの解決策になります。詳細・明確に商品を説明するためにハンガーショット(あればマネキンショット)を何枚か確保しつつ,商品一覧などに表示されるメイン画像として1商品に1枚程度モデルショット(余裕があればスナップショット)を盛り込んでいくことを考えていきましょう。

説明画像と雰囲気画像が混ざっている例:セレクト・スクエア
http://www.selectsquare.com

では,雰囲気画像の最大の弱みである「コストが高い」ことを何とか克服して,「見ているだけで楽しい」商品画像を効率的に掲載していくにはどうすればいいでしょうか

3.雑誌にあるような「雰囲気写真」を低コストで撮影・掲載する方法

大型の通販サイトでは1商品ごとに豊富なモデル・スナップショットがあります。でも多くのサイトでは,そのようなコストはかけられないというのが実情。その解決策として,1回の撮影で複数の商品に使える雰囲気写真を撮る方法をご紹介します。

  1. そのサイトで売っている商品だけを使ったコーディネートをモデルに着せる
  2. 全身,上半身,下半身,足もと,その他アクセサリーを付けている部分など,様々なバリエーションで撮影する
  3. 全身を撮った写真はトップスorボトムスに,上半身のはトップスに,下半身はボトムスに,足下のは靴の商品写真に使う
  4. サイトのホームに全身の写真を載せ,そこをクリックするとそのコーディネートで使われている商品の一覧が表示されるようにしてもおもしろい

この方法を使うと,1回の撮影でトップス,ボトムズ,アクセサリーなど複数の商品画像を撮ることができるようになります。撮影を何回か行って雰囲気画像を載せられる商品を増やせば,サイトを訪れる人も雑誌を眺めるような気分で楽しむことができるようになるでしょう。

注意点として,まったく同じ写真を異なる商品の商品画像として使用しないことがあります。一覧表示などで同じ写真が並んでしまうと,その画像がどの商品画像なのか分からず,ユーザーの混乱を招いてしまうことになるからです。必ずアップの画像にしたりポーズやアングルを変えるなどして,パッと見ても違う商品の写真だとわかるようにしましょう。

4.おわりに

商品写真はオンラインショップの勝負どころ。ただでさえ競争の激しい中で,「何となく」では売れる商品写真は撮れません。

サイトのコンセプトや規模,予算はそれぞれで違いますから「絶対これがいい」と言うことはできないでしょう。今回はスナップショットを推しましたけれども,「スナップショット=売上が上がる」というわけではありませんしね。

今回ご紹介した4つのパターンが,どういう商品写真を撮ればいいのか,ということを考える参考になれば嬉しいです。


コメントは受け付けていません。